●豪雨の西日本シリーズ開幕戦はB-MAXが勝利 2012年のF4シリーズは、西が3月4日に岡山国際サーキットで、東が2週間後3月25日ツインリンクもてぎで、それぞれのシリーズ開幕戦が行われました。 昨年、東日本大震災の影響によって開幕戦が延期されると共に参加台数を減らした東日本シリーズは、今年、勢いを取り戻しつつあるようです。毎年、準備が整わないチームが参加を見送ることが多い開幕戦でさえ18台が参加しました。さらに数台の参加が予想されるためシーズン中盤以降25台程度の賑やかなエントリーを集めることとなりそうです。
西と東のF4シリーズは、それぞれ6戦ずつ行われますが、今年の傾向としては、西と東の両方のシリーズへ参加するチームが増えたことでしょう。F4のみならずF3にも参加するB-MAXは、スケジュールが許す限り西と東の両方のF4シリーズへ参加する計画であるようです。B-MAX陣営の要であるNo.37 DRAGONは、今年、作られた新車のRK-01を走らせますが、既にシャシーNoは7となりました。2012年バージョンのRK-01のポイントは、昨年のシーズン終盤に登場させたエボサスを備えると共に、細部を見直して速さを維持しながらコストダウンを図っているとのことです。 B-MAX陣営ではNo.2 OSAMUも両方のシリーズを狙っているようです。
2012年、最も積極的に西と東の2つのF4シリーズを狙っているのは、エクシードモータースポーツのNo.7山口大陸です。昨年東日本シリーズ第5戦もてぎで優勝した山口大陸は、2012年、東だけでなく西のF4シリーズ制覇を狙って、従来のZAP F108に加えてB-MAXよりRK-01を導入しました。当初、西用と東用としてそれぞれ1台を使う予定だったようです。F108とRK-01は、同じJMIA UOVAカーボンモノコックを使用しますが、カウルと共にサスペンションやリアのサブフレームが違います。山口大陸は2台を乗り比べるだけでなく、セットアップのし易さ等も比較したようです ZAPやB-MAX陣営だけでなく、総てのF4関係者が興味を持ちそうな話しですが、山口大陸によると、一長一短あって判断出来ないようです。現在のところ、シャシー本体はRK-01、それにF108のカウルを組み合わせるのが、山口大陸の好みであるようです。
3月4日に岡山で行われた西日本シリーズ開幕戦は、豪雨の中で決勝レースは行われました。今年導入されたダンロップタイヤは雨でも良くグリップするようです。楽しみのために参加するジェントルマンドライバーも多いことから、雨でも良くグリップするダンロップタイヤは大歓迎であるようです。
しかし、岡山の決勝レースの雨は酷すぎました。タイヤのグリップに関わらず、水煙によって前が見えないため、1周目から彼方此方でアクシデントが発生しました。 フロントローからスタートしたNo.7山口大陸は、まったく前が見えない状況でZAPのNo.14服部晃輔に追突してしまいました。アクシデントが頻発した結果、予選8位からスタートしたB-MAXのNo.2 OSAMUがトップに躍り出て、そのままトップでチェッカーを受けました。
●2012年の予選の走り方 今年、新たに導入されたダンロップタイヤは非常に大きな耐久性を誇っています。決勝レースで使った後、数回の練習走行が行えるため、F4チームにも好評であるようです。 同時に非常にマイルドな性格を持つため、走り方にも変化が出ているようです。 従来、予選を走る場合、決勝レースでの余力を残すため20分の時間の総てを使わないで、ほんの数周でタイムを叩き出すことが求められました。好タイムを記録出来なかったドライバーやチームは、予選の時間が残っているにも関わらず走行を切り上げなければならないことから、充分な力を発揮出来ず欲求不満が溜まる予選でした。
ところが、新しいダンロップタイヤの場合、大きな耐久性を持つため、20分間の予選の時間をフルに使ってタイムアタックを行うことが可能となりました。昨年まで、どんなに走っても7周が限界と言われましたが、今年の場合、10周以上周回して慎重にタイヤを暖めると共にタイムアタックのタイミングを図ることも可能となりました。
東日本シリーズ開幕戦ツインリンクもてぎにおいて、ダンロップタイヤによる、初めてのドライコンディションでの予選が行われました。ほとんどのドライバーが、走るにつれてどんどんタイムを更新しました。2週間前の西日本シリーズでも早さを披露したNo.7山口大陸がポールポジションを獲得しましたが、10周を周回して8周目にトップタイムを叩き出しました。 予選2位はNo.14 ZAPの武平良介が獲得しました。武平良介は走るにつれてタイムを向上させ、昨年であれば走ってはいけない11周を周回してタイムアタックを続けましたが、ほんの少しのミスでポールポジションを逃しました。武平良介のNo.14 ZAPは、昨年西日本シリーズでチャンピオンに輝いた平川亮がドライブしたマシンそのものです。予選3位もNo.3 ZAPの中山雅佳ですが、大急ぎで在庫のパーツを使って組み立てられたシャシーであるため、新たな試みを取り入れる余裕はなかったようです。
予選2位のNo.14武平良介と予選3位のNo.3中山雅佳は、昨年のスーパーFJツインリンクもてぎシリーズを同一ポイントで終了して、有効ポイントの差で武平良介がチャンピオンに輝きJSSのスカラシップを獲得したライバル同士です。今年の東日本シリーズは、No.7山口大陸を加えた3人によって、タイトル争いを繰り広げことが予想されます。
●12周のデッドヒートを制したのは武平良介 午後4時24分決勝レースがスタートしました。予選2位のNo.14武平良介のZAPが好スタートを決めました。ポールポジションのNo.7山口大陸のZAPがイン側に切り込んで、1コーナーの進入でトップの座を確保しました。予選3位の中山雅佳も好スタートを披露してフロントローの2台に並ぼうとしましたが、ジャンプスタートと判定されて、ピットスルーのペナルティを課せられました。
トップ争いは、ポールポジションからスタートしたNo.7山口大陸と2番手からスタートしたNo.14武平良介の間で繰り広げられることとなりました。 まだタイヤが暖まってない3コーナーで、トップのNo.7山口大陸はタイヤをロックさせてしまいました。この僅かなミスを見逃さなかったNo.14武平良介がトップに躍り出ました。しかし、2番手に後退したNo.7山口大陸は一歩も退かず、No.14武平良介をテイルtoノーズで追走しています。 ブレーキングとコーナーリングではNo.7山口大陸の方が速いようですが、ストレートスピードはNo.14武平良介に軍配が上がりそうです。
No.14武平良介とNo.7山口大陸は、0.1秒から0.5秒の差で周回を続けました。最終ラップの最終コーナーが、No.7山口大陸が仕掛ける唯一のチャンスと思われましたが、2台が最終ラップに入った頃、後続のマシンが最終コーナーでスピンして縁石に乗り上げてストップしたため、赤旗が提示され、1周前の11周終了時点の順位でレースは終了することとなりました。
No.14武平良介が優勝して、No.7山口大陸にとっては悔やまれる結果となりました。14秒遅れですがNo.72金井亮忠が3位でフィニッシュしました。No.72金井亮忠のマシンは、アルミモノコックに2リットルエンジンを搭載しているため、マシンそのものはAクラスですが、Aクラスの条件は総合4位以下ですから、Aクラスの対象とはなりません。