●2012年のF4指定タイヤはダンロップ 西と東で2つのシリーズが行われるF4は、2012年よりダンロップ(住友ゴム工業株式会社)がタイヤを供給することが決定しました。1月、JAFによって、F4のコントロールタイヤとしてダンロップを指定したことが発表されましたが、1月20日よりダンロップはF4タイヤの販売を開始しており、既に彼方此方のサーキットで真新しいダンロップタイヤを履いたF4のテストが行われています。 2月15日には最初の占有テストが岡山国際サーキットにおいて行われました。
ダンロップは、F4と似たカテゴリーであるFCJにもタイヤを供給していますが、2012年のF4へダンロップが供給するタイヤは、FCJのものと比べると、リアはほとんど同じですが、フロントタイヤは少々大きく、ドライコンディションで使用するスリックタイヤの場合、フロントが195/550 R13、リアが240/570 R13と、昨年までF4で使われたヨコハマ製タイヤと事実上同じサイズです。この理由は、既存のF4チームが所有するホイールをそのまま使用出来ることを想定したダンロップの配慮であるようです。
ダンロップは新たにF4タイヤを開発する際、F4で必要とされるタイヤについて、F4協会より様々な要求と情報を得ていたようです。 通常、F4の決勝レースは12周から15周です。時間にすると、だいたい20分から30分程度でしょう。予選は15分から20分ですが、時間をフルに使うのであれば10周から12周走ることが可能です。しかし、ルールによって予選と決勝で同じタイヤを使用することが義務付けられているため、決勝レースでもグリップを発揮出来るよう、従来、最大8周程度しか走りませんでした。それ以上の走行は、タイヤのライフが短くなって決勝レースに影響を与えると判断され、予選終了まで、どんなに長い時間が残っていてタイムアップの可能性があっても、ドライバーは走行を切り上げてピットに戻りました。
ダンロップはF4タイヤを開発するにあたって、決勝レースのスタートからフィニッシュまで総ての周回においてグリップを維持することを目標としたようです。スタートからフィニッシュまで15周総ての周回でグリップを発揮出来るのであれば、2輪のレースがそうであるように、ドライバーは全力でバトルを演じることが可能となります。 しかし、ダンロップの目標はこれだけではなかったようです。
レーシングチームであれば、例外なく、練習を行う際、以前決勝レースで使用した古いタイヤを使うことでしょう。しかし、1度決勝レースで使用すると急激にグリップが低下してしまうタイヤであれば、同じタイヤを使って練習走行を行っても、実際のレースとまったく違うコンディションでの走行となるため、ドライバーもチームも、わざわざ費用を計上してサーキットで練習走行を行おうと考える気持ちにはならないでしょう。 出来る限り多くの練習走行を行ってテクニックを磨きたいF4ドライバーやチームにとって、このようなタイヤは望まれてないことが理解出来ると思います。 ダンロップは、決勝レースで使ったタイヤによって、その後、練習走行を行っても、ほとんど同じグリップを発揮して、充分、同じコンディションで走行が可能となるよう、大きな耐久性を持たせることを目標としてF4タイヤの開発に取り組んでいたようです。
既にダンロップタイヤを履いて走行したチームによると、ダンロップは、これらの目標は充分に達成しているようです。従来のF4タイヤは、リアタイヤの剛性が足りないため、極端に大きなキャンバー角を与えて走行していました。同時にリアタイヤとバランスを取る理由もあって、フロントタイヤにも大きなキャンバー角を与えていました。ZAPやB-MAXがエボサスを導入した理由の一つは、この大きなキャンバー角と考えられています。大きなキャンバー角は、タイヤのライフを短くする大きな要因となっていました。
ところが、新しいダンロップタイヤは非常に剛性が高いため、未だテスト段階であるにも関わらず、エンジニア達はどんどんキャンバー角を減らしてタイヤを垂直に接地させるようになりました。タイヤが路面と垂直に接地すると、タイヤの表面積の総ての能力を引き出すことが可能となります。未だセッティング段階ですが、優秀なドライバーが操るのであれば驚異的なラップタイムが記録される可能性もあるでしょう。
タイヤの総ての能力を引き出すことが可能となると、より硬いコンパウンドを使用することが可能となりますから、ダンロップが目標としたように、決勝レースの総ての周回でグリップを維持出来る耐久性を発揮するのが可能と考えられています。 同様に、決勝レースで使用したタイヤを使って練習走行を行うのも可能でしょう。
コントロールタイヤでありながら、生産時期や生産ロッドによって異なるタイヤが供給されたら大変な騒動が勃発してしまいます。ダンロップは、チームを混乱させないよう年間を通じて1種類のタイヤを供給することを発表しています。 ダンロップ製F4タイヤは、現在のところ良いことずくめであるようです。 期待のタイヤメーカーの登場と言えるのではないでしょうか?
F4のタイヤテストは、東日本シリーズのエントラントを対象として、3月9日ツインリンクもてぎでも行われます。F4協会は3月8日にスポーツ走行の時間があることに注目してF4チームへ参加を呼びかけています。
●2012年のF4は2つのスペシャルクラスが用意される 昨年、F4協会は古い1.8リットルエンジンを使うエントラントのため、特別な章典を設けて西と東の2つのF4シリーズを行いました。 今年もF4協会は、シリーズを盛り立てるため、様々な工夫を行っているようです。
2012年の場合、2リットルエンジンを導入したチームが増えたため、古いアルミニウムモノコックを使うチームに対して賞典を用意することとなったようです。この賞典はアルミニウムモノコックのイニシャルからAクラスと名付けられています。 各レース毎に表彰されるだけでなくシリーズ表彰も行われるとのことです。
現在、JMIA加盟企業の戸田レーシングが、2リットルエンジンへ切り替えるアップグレードキャンペーンを行っているため、Aクラスは注目されることでしょう。 このアップグレードキャンペーンを少々説明しますと、事前に登録したエンジンが対象で、ホンダB18をベースとした場合30万円、同B20をベースとした場合20万円と言う破格の値段でアップグレード可能とのことです。古いB18をそのまま使うとしても、オーバーホールは必要ですから、非常にお得なキャンペーンです。 10台限りのスペシャルキャンペーンですから、興味のあるチームの方は、急いで戸田レーシングへ問い合わせて下さい。
また、F4シリーズにはレースを楽しむ目的で参加するドライバーも少なくありません。そこで、これらのジェントルマンドライバーを対象とした賞典も設けられました。ジェントルマンのイニシャルから、このクラスはGクラスと名付けられましたが、資格は年齢40歳以上で、事前に登録することが求められています。
通常のクラスはCクラスと呼ばれますが、Cクラスは従来のF4シリーズ同様、東と西のチャンピオンシップを争うクラスですから、ほとんど総てが2リットルエンジンとUOVAカーボンモノコックを使う最新のシャシーを走らせるものと考えられます。
2012年のF4シリーズのエントリー状況については、まだ開幕戦のエントリーが締め切られてないため、あくまでも情報としてお伝えいたします。 昨年、西日本シリーズのタイトルを獲得したZAPは、西と東の両方のシリーズに参加することが決定しました。すでに岡山やもてぎでテストを行っています。昨年自製シャシーによって東日本シリーズのタイトルを奪取したB-MAXは、どうやらニューマシンを用意しているようです。その影響もあって、今年は少々スロースタートであるようです。昨年、東日本シリーズ第5戦で優勝した山口大陸は、新たにもう1台マシンを用意して東と西の両方のシリーズへの参加を計画しているようです。山口大陸はすでにテストを開始しており、先週、岡山国際サーキットで行われたテストへも参加しています。 今年も注目のシリーズが西と東で展開されることとなるでしょう。
西日本F4シリーズ ①3月4日岡山国際サーキット ②5月6日鈴鹿サーキット東コース ③7月1日鈴鹿サーキット ④8月5日岡山国際サーキット ⑤9月30日岡山国際サーキット ⑥11月25日鈴鹿サーキット
東日本F4シリーズ ①3月25日ツインリンクもてぎ ②5月27日ツインリンクもてぎ ③7月8日SUGO ④8月19日筑波サーキット ⑤9月9日ツインリンクもてぎ東コース ⑥10月28日富士スピードウェイ
Special ○11月18日Fujiスプリントカップ