●“エボサス”は最良の選択か? 1週間前ツインリンクもてぎで行われた東日本シリーズ第6戦(実質第5戦)の際、ZAPは通称“エボサス”と呼ばれるフロントサスペンションを投入しました。No.14平川亮が、国土交通大臣杯を競い合うライバルのB-MAX勢を約1秒引き離す圧倒的な速さを披露してポールポジションを獲得すると共に優勝を飾りました。もう1台のNo.7山口大陸も予選4番グリッドを獲得してポテンシャルの高さを見せつけました。 当のZAPだけでなく、ライバルのB-MAXも、ツインリンクもてぎででZAPが披露した約1秒のアドバンテージの内半分の0.5秒が“エボサス”によるものと考えているようです。そのため、既にB-MAXを含むいくつかのトップチームは、“エボサス”の研究を開始しているようです。ZAPと国土交通大臣杯を競い合うB-MAXは、11月第1週の週末、同じツインリンクもてぎで行われる東日本シリーズ第1戦(実質第6戦)で、早くも“エボサス”を投入する計画のようです。 B-MAXには、「何も行わなければ、0.5秒の差は縮まらない」との判断があるようです。B-MAXは、今年“エボサス”が普及している前日本F3選手権において、関口雄飛にタイトルを獲得させました。そのため“エボサス”への抵抗感も無かったことでしょう。第一“エボサス”のセッティングがまとまらなければ、元のフロントサスペンションに戻してしまえば良い訳ですから、ZAPと熾烈な国土交通大臣杯を競い合うB-MAXが、大急ぎで“エボサス”の開発に取りかかった状況が理解出来ます。 しかし、既に“エボサス”が普及しているF3(チャンピオンクラス)であっても、すべてのチームが“エボサス”を使いこなしている訳ではありません。既に2台に“エボサス”を装備しているZAPでさえ、No.14平川亮のマシンとNo.7山口大陸のマシンは、まったく違うセッティングと考えられています。 一般的に“エボサス”を装備した場合、フロント側がより大きな能力を得るため、それに対するセッティングを盛り込むことが不可欠と言われています。そのセッティングは、フロントだけでなくリアサスペンションにも及ぶと考えられています。 F3チャンピオンチームのB-MAXが、どのような“エボサス”をどのようなセッティングで投入してくるのか?大きな話題となっています。 ●ZAPの平川亮が西日本F4タイトル獲得 先週末岡山国際サーキットにおいて、西日本F4シリーズ台5戦が行われました。このレースは、国土交通大臣杯のポイント対象レースであるだけでなく、西日本F4シリーズをリードするZAPの平川亮にとって、もし4位以上でフィニッシュすれば、ライバル達の成績に関わらず、最終戦を待たずにタイトル獲得が決定するレースでした。また、岡山でZAPが優勝した場合、国土交通大臣杯の勝ち点が4となりますが、11月13日に行われるFujiスプリントカップのポイントが2であるため、岡山前の時点で勝ち点2のB-MAXにも、まだ挽回のチャンスが残されています。 1週間前ツインリンクもてぎで行われた東日本シリーズ第6戦が18台のエントリーを集めたのと比べると、エントリーは少々寂しい9台ですが、内6台はZAP、B-MAX、ムーンクラフト、東京R&Dの4つのコンストラクターによるUOVAカーボンコノコックマシンです。時代は大きく変わりつつあるようです。 B-MAXが“エボサス”を開発中と言うこともあって、ジェントルマンドライバーによる1台のみしかエントリーしなかったことから、ZAPの平川亮にとってライバル不在のレースと考えられました。 予選/決勝共、曇り時々雨というウェットコンディションの中行われました。 雨の予選ですから、雨の量が少ない場合、走る程コース上にラインが出来る可能性があります。そのため、ZAPは、いつもの予選と違って、最後まで全力でアタックを続けるよう、平川亮に伝えてコースへ送り出しました。チームの予想通り、予選開始時点で雨は止んでいましたが、その後再び雨が降るコンディションとなって、平川亮も第1ヘアピンでバランスを崩してしまいました。 しかし、コースへ復帰すると、セッション終盤2番手を約5秒も引き離す圧倒的なタイムをたたき出して、ポールポジションを獲得しました。 決勝レースも予選と同じようなコンディションの中行われました。 スタートが切られると、ポールポジションの平川亮が素晴らしいスタートを決めて1コーナーへ進入しました。その後方では、タイトル獲得の可能性を残しているNo.43中野貴功の東京R&Dが2番手で1コーナーへ進入しました。 驚きは、予選の際ドライブシャフトを壊して最後尾スタートとなったNo.56川村和希がスタートで4番手までジャンプアップしたことでした。 No.14平川亮は圧倒的な速さでライバル達を引き離しました。 スタートの時、ほとんど雨は止んでいましたが、スタート後5周を過ぎる頃から、再び激しく雨が降り始めました。コースの彼方此方で水たまりが出来ているようで、3番手を走っていたNo.2上田和秀のMC-090はコースアウトしてしまいました。 トップを走るNo.14平川亮の速さは変わりません。たった15周のレースですが、6位のNo.7山口大陸さえも周回遅れとして、優勝を飾りました。