Nov.14 2010
F4コンストラクターズ日本一決定戦決勝レースレポート
いよいよF4コンストラクターズ日本一決定戦の決勝レースの朝を迎えました。
昨日までと違って、どんよりとした空模様となってしまいましたが、5℃程度気温が上がると共に風が無くなったため、ドライバーにとっては、コース上の埃を気にすることなく走り易いコースコンディションと言えそうです。
ポールポジションからスタートするNo.10西本直樹の乗り組む東京R&DのRD10W、2番手からスタートするNo.14土屋祐輔のZAP F108、3番手からスタートする吉田広樹のムーンクラフトMC-090のトップ3は、昨日の予選で好感触を得たようで、基本的に同じようなセッティングで決勝レースを走るようです。基本的に同じと言う意味は、富士スピードウェイの決勝レースの場合、速いストレートスピードがポイントとなるため、どのチームも、ライバルとのストレートスピードの違いを慎重に吟味していたためです。
昨日ポールポジションを獲得すると共に、速いストレートスピードを記録した東京R&Dは、西本直樹のRD10Wのセッティングを、予選の時から大きく変更していないようです。
昨日の予選で約0.1秒差で2番手に甘んじたZAP陣営は、ほんの僅かの速さの差はドライビングの問題であり、セッティングの変更は必要なしと判断したようです。ただ、木曜日にクラッチトラブルが発生したため、2日前に交換したばかりのクラッチを、再度新品に交換して決勝レースに臨みました。
3番手からスタートするムーンクラフトは、単純にロードラッグとするだけでなく、多少ダウンフォースを残した微妙な空力セッティングで決勝レースを走るようです。
この3車のわずかなセッティングの違いが優劣を分けることとなりました。
午前10時、いよいよ決勝レースのスタートが切られました。24台のF4が一斉に1コーナーを目指して加速しました。ポールポジションの西本直樹は素晴らしいスタートを決めましたが、いつも絶妙なスタートを披露する土屋祐輔は出遅れてしまいました。新品のクラッチの感触に戸惑ったのかもしれません。
3番手スタートの吉田広樹は、すかさず土屋祐輔のZAPに襲いかかりました。土屋祐輔は、何とかイン側を死守して1コーナーへ進入しましたが、勢いは吉田広樹の方にありました。2周目の1コーナーへの進入で吉田広樹が土屋祐輔を抜いて2位に浮上しました。
激しい争いはトップ3だけでなく、後方でも熾烈な争いが繰り広げられ、1周目のダンロップコーナーで3台が接触するアクシデントが発生しました。2台がコース上にストップしたため、競技長の判断によって、赤旗が提示され、レースは中断されました。
既にトップ集団は2周目に入っていましたが、1周目のアクシデントであるため、周回数を15周から11周に減算して、再スタートが切られることとなりました。
土屋祐輔は、神様に見放されてなかったようです。
午前10時26分54秒、11周の超スプリントレースのスタートが切られました。
土屋祐輔のZAPも素晴らしいスタートを決めましたが、ほんの少しだけ、東京R&Dの西本直樹の方が速かったようです。西本直樹は土屋祐輔を牽制するためイン側へ進路を変えました。土屋祐輔は逆に外側のラインを選択しましたが、その外側には、3番手スタートの吉田広樹がポジションを占めようとしています。
結局、僅差で西本直樹の東京R&Dがトップで1コーナーへ進入して、2番手に土屋祐輔のZAP、3番手に吉田広樹のムーンクラフトが続きました。
テイルtoノーズの激しい争いが繰り広げられました。2周目のホームストレートの立ち上がりで、土屋祐輔のZAPは西本直樹の東京R&Dに並びかけましたが、東京R&Dは徹底的にダウンフォースを削っているようで、スタート&フィニッシュラインのあたりまで来るとZAPは引き離されそうになります。1コーナーへのブレーキングで再度、土屋祐輔のZAPは西本直樹の東京R&Dに接近しますが抜くことは出来ません。
3番手を走る吉田広樹のムーンクラフトは、東京R&DやZAPと比べると大きなダウンフォースを持っているようでストレートスピードは延びません、しかし、ホームストレートの立ち上がりで2台に一気に接近して、その後離されますが、1コーナーへのブレーキングで、先行する2台に急接近します。
土屋祐輔は、西本直樹の東京R&Dを追うだけでなく、吉田広樹のムーンクラフトの攻撃にも晒される厳しい状況となっています。テイルtoノーズの激しい闘いを展開しながら、5周目に東京R&Dの西本直樹は1分42秒831を記録しました。予選と変わらないハイペースでレースは行われています。7周目ZAPの土屋祐輔は、今回のレースのファステストラップタイムとなる1分42秒399を叩き出しました。
3台共、速さは互角であるようです。しかし、徹底的にダウンフォースを削った東京R&Dが、ほんの少しストレートスピードが速いため、土屋祐輔のZAPと吉田広樹のムーンクラフトは、西本直樹を攻略することが出来ません。
7周目にファステストラップタイムを記録した土屋祐輔のZAPは、吉田広樹のムーンクラフトの激しい攻撃からポジションを守るために悪戦苦闘したため、9周目に入ると、ほんの少し、西本直樹の東京R&Dとの間隔は開いてしまいました。
3台共タイヤはそうとう辛くなってきているようで、こう着状態となったまま、西本直樹の東京R&Dが、チェッカードフラッグをかいくぐりました。
たった1.111秒後、吉田広樹のムーンクラフトの攻撃から2位のポジションを守り抜いた土屋祐輔のZAPがフィニッシュしました。
優勝した東京R&Dへは、JMIA賞として300万円をゲットしました。
また、今回の「F4コンストラクターズ日本一決定戦」では2位に甘んじることとなりましたが、既に東西のF4シリーズで4勝を上げたZAPには、今回行われたGT500クラスのレースで優勝したチームルマンと共に、国土交通大臣杯が授与されました。
1 No.10 東京R&D RD10W/戸田ホンダK20 西本直樹/11LAPS 18分54秒921
2 No.14 ZAP F108/戸田ホンダK20 土屋祐輔/11LAPS +1.111
3 No.26 WEST006/戸田ホンダB18C 花岡翔太/11LAPS +8.801
4 No.51 WEST006/戸田ホンダB18C 加藤正将/11LAPS +26.537
5 No.27 WEST006/戸田ホンダB18C 柴田隆之介/11LAPS +32.484
6 No.83 WEST006/ホンダB18C 秋山健也/11LAPS +39.130
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11 No.18 ZAP F108/戸田ホンダK20 見栄張る週末派/11LAPS +54.799
12 No.13 東京R&D RD10W/戸田ホンダK20 吉田基良/111LAPS +58.119
17 No.17 ムーンクラフトMC-090/トムストヨタ3ZR 中林大輔/10LAPS -1LAPS
R No.77 東京R&D RD10W/戸田ホンダK20 DRAGON
* No.70 ムーンクラフトMC-090/戸田ホンダK20 吉田広樹/失格**最低重量違反
**24台出走、17台完走**
鈴木 英紀 著
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